第11章 セキュリティとプライバシー
企業で AI を使うとき、いちばん多い質問が 「情報が漏れないの?」 です。 この章では、特に多い2つの不安に、超初心者にも分かるよう丁寧にお答えします。
- Claude Code は あなたのパソコンの中で動き、勝手に全ファイルを外に送ったりはしません。AIに渡るのは「あなたが質問した内容」と「Claudeが見た(見せた)ファイルの中身」だけです。
- 学習データに使われるかどうかは、契約プランと設定で決まります。 会社向けプラン(Team / Enterprise)は、初めから学習に使われません。個人向け(Pro / Max)は 設定をオフにすれば 学習に使われません。
- だから企業導入では「プランの選び方」と「いくつかの設定」がポイントになります。下で順番に説明します。
🎯 この章のゴール
- 「情報が外部に漏れないか」「学習に使われないか」の答えを理解する
- 自社で安全に使うための具体的な対策がわかる
⏱ 所要時間の目安
約25分
疑問① 企業秘密がAIに流出したり、学習データに使われたりしない?
まず「どこまでが外に送られるのか」を知りましょう
Claude Code はあなたのパソコンの中で動きますが、AIに考えてもらうために、質問の内容とAIの答えはインターネット経由で Anthropic(クロードの会社)に送られます。これはクラウド型AIの仕組み上、避けられません(通信はすべて暗号化されています)。
- ✅ 送られるもの=あなたが入力した質問と、Claudeがその回答のために読んだファイルの中身
- ❌ 送られないもの=あなたが見せていない、関係のないパソコン内のファイル
つまり「見せたものは送られる/見せていないものは送られない」と覚えてください。
では、送られた内容は「AIの学習」に使われるの?
ここがいちばん大事です。契約しているプランによって、扱いがまったく違います。
| プラン | 学習データに使われる? | データの保存期間 |
|---|---|---|
| 会社向け:Team / Enterprise / API | 使われません(既定) | 30日(Enterpriseは「ゼロ保持」も選択可) |
| 個人向け:Pro / Max | 設定次第(オンだと使われる) | オフなら30日/オンなら5年 |
個人向けプラン(Free / Pro / Max)は、「データを Claude の改善に使ってよい」設定がオンだと、Claude Code での利用内容も学習に使われます。 企業の情報を扱うなら、次のどちらかを必ず行ってください。
- 学習に使う設定をオフにする → claude.ai/settings/data-privacy-controls で全員がオフに設定(オフにすると保存期間も30日に短縮されます)
- もしくは 会社向けプラン(Team / Enterprise)に切り替える → 初めから学習に使われないため、より安心です
Anthropic は、会社向けの契約(Team / Enterprise / API)で送られたコードや質問を、AIの学習には使わないと明記しています(自ら希望して特別なプログラムに参加した場合を除く)。だから機密性が求められる企業では、会社向けプランが推奨されます。
疑問①の対策まとめ
- 個人向けプランなら、学習オフ設定を全員に徹底する
- できれば 会社向けプラン(Team / Enterprise) を使う
- そもそも 超機密の情報は入力しない(これは人間相手でも同じ基本ルールです)
疑問② パソコンの中のファイルが、勝手に外部へ漏れない?
Claude Code は「勝手に全部を送る」ことはしません
Claude Code はあなたのパソコンの中(ローカル)で動きます。 あなたのパソコンにあるファイルを、こっそり全部アップロードするようなことはありません。
AIに送られるのは、疑問①で説明した通り「質問の内容」と「回答のためにClaudeが読んだファイルの中身」だけです。
ファイルを変更する前には「確認」が入ります
Claude Code は、ファイルを作ったり書き換えたりする前に、「これをやっていいですか?」とあなたに確認します(これを「許可(パーミッション)」と呼びます。第5章で実際に体験します)。
許可を求められたら、内容をよく読んでから 許可しましょう。 「とりあえず全部OK」にせず、大事な操作は1つずつ確認するのが安全です。
知っておきたい「自動で送られる小さな情報」
完全な安心のために、Claude Code が自動で外部とやりとりする情報も正直にお伝えします。いずれも あなたのコードやファイルの中身は含みません。また、オフにする方法もあります。
| 種類 | 何が送られる? | コード/ファイルを含む? | オフにする設定 |
|---|---|---|---|
| 動作の記録(テレメトリ) | 速度・エラー率などの動作データ | ❌ 含まない | DISABLE_TELEMETRY |
| エラー報告(Sentry) | 不具合の技術情報 | ❌ 含まない | DISABLE_ERROR_REPORTING |
/feedback コマンド | 会話内容(コード含む) ※自分で実行したときだけ | ⭕️ 含む(任意送信) | DISABLE_FEEDBACK_COMMAND |
| 品質アンケート | 「満足度の★だけ」 | ❌ 含まない(同意時のみ送信) | CLAUDE_CODE_DISABLE_FEEDBACK_SURVEY |
/feedback は、あなたが自分で実行したときだけ、会話の内容(コードを含む)を Anthropic に送ります。
意図せず送らないよう、企業では使い方を周知するか、上の設定でオフにしておくと安心です。
会話の履歴はパソコンの中にも残ります
Claude Code は、あとで作業を再開できるよう、会話の履歴をあなたのパソコンの中に約30日間保存します(場所:~/.claude/projects/)。
履歴はパソコン内に文章のまま残ります。共有パソコンを使う場合や、担当者が変わるときは、この履歴を消すことを運用ルールに入れておきましょう(消し方はトラブルシューティング・付録に記載予定)。
疑問②の対策まとめ
- 見せたくないファイルやフォルダは、Claude Code の作業対象にしない
- 許可(パーミッション)は 内容を読んでから 承認する
/feedbackの扱いを社内で決める- 共有PC・退職時は ローカル履歴を消す
🏢 企業として安全に使うためのチェックリスト
導入を進める管理者・推進担当者向けのまとめです。詳しい運用は チーム導入と運用 で扱います。
- プランを決める:機密度が高いなら Team / Enterprise を検討
- 学習設定:個人向けプランなら、学習オフを全員に徹底
- 情報の線引き:入力してよい情報・ダメな情報を社内ルール化
- 許可運用:重要操作は確認する方針を共有
- 機密の隔離:見せないフォルダ・ファイルを決める
- 履歴の管理:共有PC・退職時の履歴削除ルール
- より厳格に:必要なら「ゼロデータ保持(Enterprise)」や各種オフ設定を検討
Enterprise プランでは、サーバー側にデータを残さない 「ゼロデータ保持(Zero Data Retention)」 を組織単位で有効にできます。
また、上の表のオフ設定をまとめて適用する CLAUDE_CODE_DISABLE_NONESSENTIAL_TRAFFIC などもあります。導入規模に応じて情シス・Anthropic 担当と相談してください。
ここに書いた内容は、執筆時点の Anthropic 公式情報にもとづくものです。 規約や仕様は変わることがあります。 正式な導入判断の前に、必ず最新の公式情報(下のリンク)をご確認ください。
📚 参考(公式情報)
- データの取り扱い:https://code.claude.com/docs/en/data-usage
- データプライバシー設定(個人向けの学習オン/オフ):https://claude.ai/settings/data-privacy-controls
- プライバシーセンター:https://privacy.anthropic.com/
- 商用規約 / 消費者規約:https://www.anthropic.com/legal
✅ チェックリスト
- 「見せたものだけが送られる」仕組みを理解した
- 自社プランで学習に使われるかどうかを確認した(個人向けなら学習オフ設定を確認)
- パソコンのファイルが勝手に漏れない仕組みを理解した
- 自社で必要な対策を1つ以上メモした
❓ つまずいたら
- 「結局うちは何をすればいいの?」 → 上の「企業として安全に使うためのチェックリスト」を、情シス・担当者と一緒に1つずつ確認してください。
- 「学習オフ設定の場所が分からない」 → claude.ai/settings/data-privacy-controls を開いて確認します。
安心して使うための準備ができたら、次へ進んで、チームへの展開と運用を見ていきましょう。